INFORMATION

『ExtrART file.44』~死と生、世界を見据える視線~
表紙と巻頭11ページに、最新シリーズ「RESIN:死と再生」が掲載。
美術・舞踏の批評家、志賀信夫氏が執筆してくださった
インタビュー記事が作品と共に収録。
A4サイズの大判美術誌で見応えがありますので
是非お手に取ってご覧下さい。
3月26日頃から全国の書店に並びます。
◎掲載作家・記事
馬場敬一、大槻香奈、青木薫、三塩佳晴、櫻井結祈子、清水真理、菅野まり子、藤川汎正、都築琴乃、
「ニンギョウモドキ」展、「Star fragments」展
(エクストラート アトリエサード刊行)

馬場敬一展
「死と再生のイニシエーション」福岡巡回展
2025年5月17日(土)-6月9日(月) 火曜定休
11:00-19:00 *最終日は17:00終了
入場無料
作家在廊予定:5/17(土)、5/18(日)、6/8(日)、6/9(月)
YUGEN GALLERY
〒810-0041 福岡県福岡市中央区大名2-1-4 ステージ1西通り4F
馬場敬一展「死と再生のイニシエーション」
破壊や苦痛をテーマに、人間存在が抱える負の側面を描くことで表現を追求してきた馬場敬一。かつては虐げられる民族、性的搾取の対象となる女性など、社会的弱者の悲哀や諦めを傷として表現してきた。
最愛の母を一人で看取ったあとに訪れた虚脱感、そしてうつ。作家を恢復させたのは、ダンボールに描き、それを切り、立体に造形したものをつややかに樹脂で固めるという新しい表現手法によってだった。
本展で紹介する最新シリーズ「RESIN 死と再生」は、3年前に患ったうつから回復する過程で制作を開始した。描き、壊し、起こし、固めるという一連の作業手順そのものが、表現の内容と完全に一致している。創り、破壊し、蘇らせ、定着させるという段階を踏むということ。一つの工程を終わらせ次のステップに進むこと。区切りのある工程一つひとつが、うつから抜け、自らを癒すセラピーとして機能したのだ。
描く世界も変化した。かつては自身の感じる痛みを、社会問題に共鳴させ描いてきたが、現在はうつの日々で彼自身が受け、くぐり抜け、体験した痛みや傷を、個人的な神話として表現している。自分と髑髏と女神に絞ったモチーフは、うつの日々で作家自身が出会い、向き合った存在だ。
制作開始から約1年でうつを克服。ただひたすらの苦痛や時間が止まったような暗黒、死に誘われ囚われそうになる恐怖とそれに抗う生命力や人間力を封じ込めた、極めてナラティブな作品群となった。
本展は初のロングインタビューを収録した冊子、制作工程を記録したムービーを用い、約30点のダンボール×レジン作品が一堂に会するシリーズ集大成の展覧会となる。
世界保健機関(WHO)が、2030年までに社会にとって最も大きな疾病負担になるであろうと指摘するうつ病。しかし、うつは必ず治る。治癒に至る道程には、その者の生業が大きく寄与することもわかってきている。
地を這いながら昏く狭いトンネルを進み、立ち上げた馬場敬一の世界が、一条の光となることを願う。