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馬場敬一展「人間発掘」が無事終了致しました。


この様な時節での開催となりましたが、予想を超える多くの皆様に足を運んで頂き感謝しております。

ご来廊叶わなかった多くの方々にもオンラインエキシビションをご高覧頂き、また Facebookやinstagramの投稿への沢山の「いいね!」やコメント、メッセージも大変励みになりました。ありがとうございました。


2年半振りの開催となりましたが、新シリーズを中心に全て新作で臨みました。

皆様から沢山のご批評やご感想の言葉を頂き、僕自身が何を描き伝えようとしていたのか、そして、これから何を描き伝えるべきなのかが、おぼろげながら見えてきました。

皆様から頂いた全てを糧に、次回ご高覧頂く日に向けて、個展終了後から早速制作を開始しております。


実り多き展覧会にして頂きました事、皆様に心から感謝しております。ありがとうございました!!


2020.6.10 馬場敬一

今回展示している14作品の中でダンボールの作品は3点。2015年から継続しているシリーズです。ダンボールに女性を描き、画面をカッターナイフで切り刻んでいます。


このシリーズを描く様になったきっかけは、差別や暴力に対する人権運動や、性暴力被害者の抗議活動に触れたからです。

カースト最下位のダリット(不可触民)は、インド社会の中で人間としての尊厳を与えられていません。上位カーストの者の前で食事した事を理由に殺害されたり、上位カーストとダリットに同じコップで水を提供した食堂が焼討ちにあったり。

中でも女性は、カースト差別に加え女性差別の対象となります。何世紀にも渡り男性の所有物とみなされ、ダリットのコミュニティの中で差別され、支配されています。


ダリットはこのシリーズを描くきっかけになりましたが、あくまで一例であり、描かれる人物に特定のモデルはありません。



テーマは、社会的弱者の絶望や、諦め、隷従です。


この様な重苦しいテーマを描くのは、決して心地良いものではありません。怒りや憤りに裏付けられた破壊衝動が画面を切り刻みます。画面にぶつけた破壊のエネルギーは自分に返り、自分を切りつけます。

それでもこの不快な絵を描く理由は、僕自身が、苦しみや痛みに目を背けてはいけないと感じているからでしょう。そして、どこか共感しているのだと思います。

いや、僕自身の姿を描いているだけなのかもしれません。

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